PROJECT STORYプロジェクトストーリー
STORY | 01
営業部 城東営業所 営業所長
2002年入社 法政大学 卒業
浅野がこの会社で経験した一番の大仕事は、スカイツリーの安全に関わる仕事だった。
これは、恐らく今後も経験しない規模のものだと彼は考えている。
想像に難くないが、建物を建てる作業は上へ上へと「現場が移る」ことが特徴だ。
スカイツリーは日本人なら誰もが注目した高さを誇る建物。
この「現場が移る」ことが顕著に表れる建物だったのだ。元請企業からの相談は、看板類と熱中症対策の二つだった。
「この現場の安全を我が社の製品でどう守るのか」-。
浅野は即座に打合せを開始した。
「悩みながらも後に達成感を感じたのは、熱中症対策のサポートだった」と浅野は言う。
4月の打合せ開始から、夏の暑さが本格化するまでに、現場に出入りする技術者たちを熱中症から守るための対策を練る。
スケジュールはとてもタイトだった。
課題はたった1点。
身に着けるスタイルを採用するとすれば、技術者たちの作業を邪魔しないように徹底的に検討する。
飲み物を高層階から誤って落としてしまえば、たとえそれがペットボトルであっても大参事となる。
熱中症から体を守る飲料が技術者たちの動きを制限してしまうような事態を招くことにでもなれば、もっと大変な事故へとつながる。
あまり知られてはいないが、公共工事や大型工事には最終的に点数で評価される。
建物の仕上がりはもちろん、作業中にトラブルはなかったか、けが人は出なかったか、安全への配慮は行われていたかなど、その会社を評価する項目に「安全」が占めるウエイトは多い。
人の安全を守ること、元請会社の名誉を守る事-。
この点からも、飲料を安全に持ち運ぶという命題は大きかったのだ。
元請企業との打ち合わせの中で、複数あった案の中から浅野は最終的に「腰に付けるタイプ」を推した。
似た商品は既にカタログに存在したが、現場の特殊性を考え、浅野は下請けの工場に試作品をいくつも作らせた。
特に配慮したのは、フック部分だ。
このパーツこそ、「飲み物を落下させない」メインの働きをする部分だからだ。
当然、発注側も細かな注文を入れた。
「営業マンたるもの、嫌な事の方が多いのが普通。だが、夕方事務所に戻ると元の自分に帰ることができるのがこの会社のいいところ。よく言うところの、アットホームなイメージ。ちょっとした愚痴や悩みを漏らしても、上司や同僚が受け止め、相談に乗ってくれるのは、入社18年目の私にとって今でも支え」。
入社当時を振り返っても、この空気は今と全く変わらない。
クレームの電話にうなだれていると、上司が「一緒に行くぞ」と率先して手本を見せてくれた。
同期の2、3人で呑みに行く約束をすると、その店には同期だけでなく同僚約20人が集まっていた。
家庭的でありながらも、パワフルな社風に助けられ、その居心地の良さで18年勤め続けたと浅野は振り返った。
「今、色々な場所で安全・安心・快適が求められている。幅広い業界・業種の安全にいかにコミットするかが我々の使命。実際に現場で何が起きているのかを見、そして懇切丁寧にヒアリングすること。これがお客さまの心に寄り添うことであり、この仕事の基本となる。もし入社を考えている学生がいたら、”スポンジのように吸収する力の発揮と観察力があればいい”と伝えたい。後は上司や先輩が教えてくれる」。
あらゆる場所で安全が求められている今、その安心の縁の下の力持ちとして今も浅野は営業活動に走る。